前回の続きです。
もしよかったら、前回のブログも読んでいただけたら嬉しいです。
楽器と機材を没収され、1週間以内にaus700ドルを払わなくてはいけなくなった僕は、とにかく仕事を探さなくてはいけなくなりました。
オーストラリアに来てバスキングしかしてこなかったので、何をしていいか分からなかったのですが、とにかく日本食レストランへ手当たり次第突撃してみることにしました。
しかし結果は惨敗。
何軒か日本食レストランへ突撃し、事情も話したのですが、あまりに急な話なのでどこも雇ってはくれませんでした。
旅をしていたので、見た目も相当汚かったです・・・。
そこで途方にくれていると、携帯が鳴りました。
電話の相手は、サーファーズパラダイスに住む日本人の友達からでした。
そして彼に事情を話すと、
「なんか友達に聞いたんだけど、オージーのゲイのおじさんがいて、その人、金がなくなって行くあてがなくなった人の面倒を見てるらしいよ」
「ま、マジか、なんかちょっと危なそうな匂いがするけど、大丈夫かな・・・」
「大丈夫、大丈夫、いい人だってよ、ちなみに細くて若い日本人が好きらしいよ」
僕は条件を見事にクリアしていた。
不安を抱えつつ、僕はそのおじさんを紹介してもらうことになりました。
彼の家は高層マンションの9階にあった。
そこに向かうエレベーターの中では、心臓がぶっ壊れそうなくらい緊張していました。
部屋の中へ入ると、だだっ広いリビングに三人掛けのソファーが置いてあり、真ん中に髪の毛がカールした、クルクルヘアーの上半身裸のおじさんが座っていた。
その両脇には、恋人?と思われる若い男の人が2人座っていました。
部屋の隅に目をやると、小さい子供を抱き抱えた中国人らしき女性がうずくまっていて、リビングの床には、数人の多国籍の若者が雑魚寝していました。
「な、なんだ、ここは」
異様な光景に言葉を失っていると、友達が僕を紹介してくれました。
おじさんの名前はデイブといい、見たところ4、50歳くらいに見えます。
僕が拙い英語で必死に事情を話すと、デイブも両脇の男の子達も真剣な眼差しで話を聞いてくれました。
「そういう事情なんですが、何日かここに泊めてもらえないですか?」
「それは大変だったね、ただ悪いんだけど今ここは人がいっぱいでね、1日だったらそこの床で寝ていっていいよ」
そういってもらい、その日はデイブの家に泊まることになりました。
色々な事が起こり、疲れていたせいですぐに眠りについてしまいました。
しばらく寝ていると、玄関から騒がしい声が聞こえてきて、数人の高校生くらいの男女が入ってきました。
見たところすごく酔っており、いかにも不良少年という感じの出で立ちでした。
「うるさいな」と思いながら寝たふりをしていると、その中の一人の少年が僕に向かって
「あっ!テクノディジュリドゥだ!」
と言ってきました。
テクノディジュリドゥとは、僕がいつもバスキングする時にテクノミュージックに合わせてディジュリドゥを演奏していたため、たまに町の人からそう呼ばれていました。
そして不良少年達に叩き起こされ、しょうがなく事情を説明しました。
すると僕に最初に話しかけてきた男の子が、
「なんだ!それなら僕の家に泊まりなよ!一人で暮らしてるからいつまででも泊まっていいよ!」
そういってくれたのは、ブロウディという少年でした。
彼は高校生くらいの年ですが高校には行っておらず、街のバーで働いているらしい。
親とはもう長い事会っていないとか。
正直言うと、この子達に見ぐるみを剥がされる不安もありましたが、他に行く当てもなく、この先どうしたらよいのか分からなかったので、彼の世話になる事に決めました。
そして彼と電話番号を交換し、その日は眠りにつきました。
つづく
続きはこちら