オーストラリアで出会ったイカれた天使 その1

 

初めまして、ピッコロ三世と申します。

初投稿で不慣れではありますが、読んでいただけたら幸いです。

長い話なので何パートかに分けて書きたいと思います。

 

僕は過去にバックパッカーをしていた事があります。

バックパッカーとはバックパックを背負い、国内や世界中を旅する人の事です。

かなり昔の話ですが、その旅の中で、オーストラリアの先住民アボリジニの民族楽器「ディジュリドゥ」という楽器に出会いました。

僕は、そのディジュリドゥという楽器の音色に一瞬で取り憑かれ、必死に練習をしてプロを目指すようになりました。

そして、ディジュリドゥを始めて1年位が経った頃だったと思います。

本場のオーストラリアに行って修行をしたいと思うようになり、バックパックディジュリドゥを背負って日本を飛び出しました。

 

オーストラリアでは路上でディジュリドゥを演奏をして、投げ銭を貰うという生活をしていました。

日本ではあまり馴染みがないですが、オーストラリアでは路上パフォーマンスをBusking(バスキング)と言い、割と普通に職業にしている人も多く、もちろん腕にもよりますが、結構稼げたりもします。

これは僕がオーストラリアでバスキングをしながら旅をしていた頃の話です。

 

 

あれはたしか、サーファーズパラダイスと言う町に立ち寄った時の話です。

当時本当にお金がなく、宿に泊まるお金も惜しいくらい貧乏でした。

なので、宿代をケチって野宿をしながらバスキング生活をしていました。

ある日、いつも通りバスキングをしていると、目の前にスキンヘッドのイカつい白人のおじさんが立ち止まり、僕の演奏を見ながら何枚か写真を撮り始めました。

「あぁ観光客かな」と思い、カメラにピースをしました。

すると、おじさんが近づいてきたので、握手をしようとした瞬間、いきなり楽器を奪われ、「演奏をやめろ!」と怒鳴られました。

何が起きたのか理解できずにいると、英語で「さっさと機材を片付けてついてこい!」と言われました。

そそくさと楽器とアンプをしまい、おじさんについて行きました。

着いた先は交番で、そのおじさんは自らをcity councilだと言いました。

city councilとは市議会の事で、本来バスキングをするには、各町によってライセンスを取得する必要があり、当時僕は、他の街のライセンスは持っていましたが、サーファーズパラダイスのライセンスは持っていませんでした。

しかし当時の僕は、どうせ怒られて終わりでしょ?とかなり舐めていました。

その後、宿泊先などを詳しく聞かれ(野宿なので宿泊先はない)日本の実家の番号も聞かれました。

そして長い質問攻めが終わり、やっと帰れると思った時おじさんが言いました。

 

「この楽器と機材は没収する、一週間以内に罰金700ドル払え」 

 

僕「え??」

 

「払えない場合はオークションに出品する」

 

僕「えぇぇぇぇ!?」

 

「嘘でしょ!?俺はただ路上で音楽をやっていただけだよ!勘弁してください!悪魔かよ!!」

 

「帰れ!」

 

僕の遠吠えは虚しく、交番を追い出されました。

自慢じゃないですが、その時の所持金はマジで5ドル位だったと思います。

ちなみに当時のオーストラリアドルのレートは、日本円と大して変わらない位だったので、罰金は7万位だったと思います。

僕の唯一の稼ぐ手段だったバスキングができなくなり、近くのビーチで泣き叫びました。

「本当にこれからどうすればいいんだろう・・・」

 

つづく

 

 

 

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